第9回「いじめ・自殺防止作文・ポスター・標語・ゆるキャラ・楽曲」コンテスト
 作文部門・優秀賞受賞作品
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  『 言葉に生きていく力が』
        


                                                 林場 玖荒

 僕はリスカをしています。理由を話すと長くなりますが一言で言うと生きてる意味が分からなくなるからです。親に言われるいろんな暴言や女の体なのに男になりたいだとかいろいろあります。死にたいと四六時中思っていました。だけど今生きています。死ねる機会なんていくらでもあったのに何で死んでいないのか。それは大切な人のために生きなければならないからです。では何故そうなったのか、お話します。
 僕はある動画投稿アプリを見ていました。
そこで好きな投稿者さんと出会いました。この人が僕の命の恩人です。ある時同じゲームをプレイしていることを知ってフレンドになりました。それだけでも嬉しかったです。チャットの機能を使ってたくさん喋りました。お互い性について悩みがあること、ゲームのコツ、学校生活のこと、お互いがお互いの動画が好きだったこと、好きな髪形、数えきれないくらい喋りました。そのうちに相手に恋人がいると知りました。知った時にはショックでした。もうその人の事が好きだったからです。大好きだったからです。勝手に好きになって勝手に振られた気になっている自分が情けなかったです。さらに死にたい欲が抑えきれなくなりました。でもその人との楽しい時間を思い出して死ねなかったです。そしてそれに畳みかけるように家族からの暴言を受けました。
 そして次の日の授業中、僕は過去の友人関係のトラウマを思い出してしまったのと精神疲労で耐え切れず泣いてしまいました。保健室でカウンセリングを受けて先生に心配をかけて、本当に情けなさと申し訳なさでいっぱいでした。
 その日はもう心がボロボロでした。元気がないと友達に言われるし、部活にも集中できなかったです。ずっとこんな毎日ならいっそ死んでしまおうと思っていました。
 帰宅後、すぐにそのゲームを開きました。癒しが欲しかったんです。気持ちを静めたかったんです。家族に何を言われても無視して必死でプレイしていました。すると、ゲームの中で僕の名前を呼んでくれた人がいました。
それは僕の好きな人でした。そのあと一緒にゲームをプレイしてくれました。楽しいと思う反面、聞きたいこともありました。だから聞いてみたんです。
「僕が死んじゃったら悲しい?」
と。
冗談交じりで聞いたのであまり真剣な答えが返ってくると思っていませんでした。でもその人はこう返してくれました。
「そりゃそうだよ。貴方が死んだら悲しい。というか、貴方が死んだら俺も死ぬ。」
この言葉がどれだけ僕を救ってくれたか。この言葉がどれだけ欲しかったか。自分の中のもやもやが晴れていく感じが分かりました。「でも恋人さんが悲しむよ?」
とも思ったので聞いてみました。好きな人にも死んでほしくないですしね。その返事が、
「それでもそのくらい貴方が大切だから。貴方に生きていてほしいから。」
でした。
当然僕は泣きました。今まで生きていてほしいなんて言われたことがなかったんです。自分の存在が他の人にとって邪魔でしかないと言われて、そう思い込んで、勝手に傷ついてきた自分には生きる希望として十分すぎるくらいです。明日も頑張って生きようと初めて思えた瞬間でした。
 僕はこの人が今でも好きです。恋人がいるのも承知の上です。でもそれ以上にこの人の為に生きていたい、どんな形でもいいからこの人の傍にずっと居続けたい、と思う気持ちが強いです。たった一人の支えがこんなにも強いものだなんて知らなかったです。
人の言葉は消えないし時には悪いことにも使われます。でも言葉が心に残ればほかの人の未来を変えることだってできます。だから貴方の隣に、遠くても、助けを求めて苦しんでいる人を見つけたらその人に心を込めてこう言ってください。
「私はあなたに生きていてほしい。あなたの存在がとても大切なんだ。」
と。
それで救われる命があります。誰にでも命を救うことはできます。
 自殺希望者の方、最後にこの言葉だけは覚えておいてください。
「他人を信じられなくてもいい。でも自分の事だけは信じ続けてほしい。今ここで生きてるのは自分なんだって。」
これで消えかかっている命に少しでも希望を灯せたなら僕は幸せです。
今生きていてくれてありがとう。